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記事公開日

【処置別編】行政指導で指摘されやすい歯科カルテ記載のポイント

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前回は初診時に必要なSOAPの記載見本をお伝えしました。今回からは処置別に記載が必要な項目とその記載方法を説明します。

前回もお示しましたが、カルテは診療に必要な情報を網羅的に記載することがとても重要です。時系列に且つ具体的に記載をしなければ当該患者の口腔状態が判断しにくく、次回以降の診察時の「見落とし」の原因となります。

また必ずしも前回と同じ歯科医師が診療を行うことはなく、担当医が変更になる場合もあります。その際の引継ぎがスムーズになる事も踏まえて記載が必要になります。

それは既にお伝えしているSOAPだけではなく全ての処置に記載が必要です。

歯科医師は誰が読んでも治療の経緯や計画を明確に理解できるように記載し診療のエビデンスを明確に示さなければなりません。

行政指導においても重要視される処置があり、記載の有無や内容は指導の結果を大きく左右します。

全ての医学管理(別紙参照も一部可)及び処置に対してカルテ記載は必要ですが、 今回は特に重要な項目を 厚生労働省保険局医療課の「 保険診療確認事項リスト」を抜粋・参考して説明致します。

原則全ての医学管理及び処置特にカルテ記載は必要ですが、特に多くの記載漏れまたは記載不足が指摘された事例

歯周病検査

  • 必要な検査のうちポケット深さの測定(1点以上)、歯の動揺度を実施していない。
  • 必要な検査のうちポケット深さの測定(1点以上)、歯の動揺度の結果を診療録に記載又は検査結果の分かる記録を診療録に添付していない。
  • 混合歯列期の患者に対して、歯周組織の状態及び歯年齢等から混合歯列期歯周病検査の適用を考慮せずに、歯周基本検査を画一的に選択している不適切な例が認められたので改めること。
  • 混合歯列期の患者に対して漫然と歯周基本検査を実施している例が認められたので、歯周組織の状態、歯年齢等により、混合歯列期歯周病検査、歯周基本検査の必要性を十分に考慮した上で検査を選択すること。
  • 歯周基本検査におけるポケット深さの測定、歯の動揺度の検査結果について、診療録、診療録に添付した記録の記載に不備のある例が認められたので、適切に記載すること。

画像診断

  • 撮影した歯科エックス線写真、歯科パノラマ断層写真において、不鮮明な、現像、定着、画像処理が適切ではない、変色した、画像への不適切な書き込みを行っていた、撮影年月日、患者氏名が判断できない例が認められたので、適切に取り扱うこと。
  • 歯科疾患の診断に際して、歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影又は歯科部分パノラマ断層撮影等、各種撮影方法を比較考慮した内容に関して診療録への記載がなく、不十分であり、歯科用3次元エックス線断層撮影を第一選択とした理由が確認できない例が認められたので、記載内容の充実を図ること。
  • 歯科エックス部分パノラマ断層撮影を行った場合に、写真診断に係る必要な所見を診療録に記載していない。
  • 歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科用3次元エックス線断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影を行った場合に、診療録に記載している写真診断に係る必要な所見が実態と異なっている。
  • 歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科用3次元エックス線断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影を行った場合に、診療録に記載すべき写真診断に係る必要な所見について、画一的に記載している、記載の不十分な例が認められたので個々の症例に応じて適切に記載すること。
  • 歯科エックス線撮影(全顎撮影以外の場合)を行った場合には、フィルムごとの診断所見を適切に記載すること。

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機械的歯面清掃加算

  • 当該処置を行った歯科衛生士の氏名が診療録に記載されていない、誤っている。
  • 妊娠中の患者に対して機械的歯面清掃処置を行った場合に、その旨を診療録に記載していない。
  • 歯科用の切削回転器具・研磨ペーストを使用しその旨を診療録に記載していない。
  • 糖尿病の患者に対して別の医科の保険医療機関の担当医からの情報提供に基づき機械的歯面清掃処置を行った場合に、情報提供の内容及び担当医の保険医療機関名等を診療録に記載又は提供文書の写しを診療録に添付していない。

衛生実地指導

  • 主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が実地指導を行っていない。
  • 歯科衛生士が指導終了後に主治の歯科医師に対する報告、業務に関する記録の作成を行っていない。
  • 歯科衛生士に行った指示内容等の要点を診療録に記載していない。
  • う蝕又は歯周病に罹患している患者に対して、プラークチャート等を用いたプラークの付着状況の指摘、患者自身によるブラッシングを観察した上でのプラーク除去方法の指導を実施していない。
  • 情報提供文書に記載すべき指導等の内容、口腔衛生状態(う蝕又は歯周病に罹患している患者はプラークの付着状況を含む。)、指導の実施時刻(開始時刻及び終了時刻)、保険医療機関名、主治の歯科医師の氏名、指導を行った歯科衛生士の氏名を記載していない。

抜歯

  • 抜歯手術難抜歯加算、埋伏歯における症状、診断所見、手術内容、術後経過について、診療録に記載していない、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

口腔内消炎処置

  • 手術部位、症状及び手術内容の要点を診療録に記載していない。
  • 診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。
    ア 手術部位
    イ 症状
    ウ 手術内容の要点

補綴時診断料

製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載していない。
イ 診療録に記載すべき内容 製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等の要点が実態と異なっている。

  • 診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。
    ア 製作を予定する部位
    イ 欠損部の状態
    ウ 欠損補綴物の名称及び設計等の要点
  • 患者への提供文書に記載すべき内容について、記載の不十分、不適切な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。
    ア クラウン・ブリッジ維持管理料の趣旨
    イ 補綴部位
    ウ 装着日
    エ 保険医療機関名

有床義歯修理・有床義歯内面適合法

  • 算定要件を満たしていない有床義歯修理を算定している次の例が認められたので改めること。
    修理内容の要点を診療録に記載していない。
  • 有床義歯修理に係る診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している、記載の不十分な例が認められたので、修理内容の要点について個々の症例に応じて適切に記載すること。

有床義歯内面適合法

  • 算定要件を満たしていない有床義歯内面適合法を算定している次の例が認められたので改めること。
    顎堤吸収の状態、顎堤粘膜の状態等、症状の要点及び使用した材料名を診療録に記載していない。
    有床義歯内面適合法の実施内容について、診療録に記載していない、診療録への記載が不十分な例が認められたので個々の症例に応じて適切に記載すること。

歯科口腔リハビリテーション(有床義歯の場合)

  • 算定要件を満たしていない歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」を算定している次の例が認められたので改めること。
    調整部位又は指導内容等の要点を診療録に記載していない。
  • 歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」を算定している場合に、診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している、記載の不十分な例が認められたので次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。
    調整部位又は指導内容等の要点

次回以降の解説予定

本稿では、行政指導において特に指摘されやすい処置を中心に、
カルテ記載のポイントを処置別に整理しました。

次回以降は、

  • 訪問診療
  • 口腔機能低下症
  • 口腔機能発達不全

など、実務の現場で求められるカルテ記載の考え方や注意点を、順次解説する予定です。

さらに実務レベルで確認したい方へ

本記事では、処置別に「指摘されやすい記載ポイント」を中心に解説しましたが、
実際の現場では

  • どの程度まで記載すれば十分なのか
  • どのような表現が求められるのか
  1. と迷われるケースも少なくありません。

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著者紹介

著者:鶴巻 ひとみ (医療事務コンサルタント/レセ基地代表)
ソフトウェアメーカーを経て、歯科診療報酬の専門家としてキャリアを築く。これまで全国1,600件以上の歯科医療機関をサポートし、実務に基づいた豊富な経験と実績を持つ。
また、各地の歯科医師会、医療法人、歯科関連企業を対象に、診療報酬請求に関する研修会を多数実施。現場の課題に即した分かりやすい指導に定評がある。

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