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令和8年度 歯科診療報酬改定の要点〈第1弾〉|施設基準の申請・ベースアップ評価料・改定率+3.09%

令和8年度の診療報酬改定は、今回の診療報酬改定の本体改定率は、+3.09%とプラス改定となります。主には物価高や人件費の賃上げ対策、医療DXの推進といった環境変化を背景に、医院経営に大きな影響を与える改定となります。
今次改定はベースアップ評価料の見直しや医療DX関連加算の再編など収益や運用体制に影響する変更が多数盛り込まれています。
その背景には、物価高や賃上げ、人手不足への対応をはじめ、将来を見据えた医療提供体制の構築や制度の持続可能性の確保といった基本方針があります。まずは、今回の診療報酬改定の基本的な視点と具体的な方向性について理解しておきましょう。
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」P.2
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671913.pdf
令和8年度歯科診療報酬改定の重要な4つのポイント
物価の高騰、賃上げ、人手不足への対応
- 歯科外来・在宅ベースアップ評価料
- 歯科技工所ベースアップ支援料
- 歯科技工士の技術の評価
- 初診料・再診料の底上げ
かかりつけ歯科医による口腔機能の管理等の推進
- 小児口腔機能管理
成長期における口腔機能発達不全症へのアプローチを重視するため、対象患者の範囲拡大と点数の見直しを行う - 口腔機能管理料
オーラルフレイルや口腔機能低下症への対応として、対象患者の範囲拡大や要件の見直し(評価の2段階化など)が行われ、日常の臨床に取り入れやすい形に再編
歯科固有の技術の評価
- 歯科疾患管理料(歯管)の見直し
従来規定されていた「初診日の属する月に算定する場合は80%(減額)」というルールが廃止され、初診月と再診月の評価が同額に統一 - 算定要件の明確化
「継続的な管理の必要性について患者へ説明を行うこと」が算定要件として明確に明記 - 口腔機能管理料
オーラルフレイルや口腔機能低下症への対応として、対象患者の範囲拡大や要件の見直し(評価の2段階化など)が行われ、日常の臨床に取り入れやすい形に再編 - 歯周病継続支援治療の新設
これまで行われていた歯周病安定期治療(SPT)や歯周病重症化予防治療が整理統合され、「歯周病継続支援治療」へと再編。より分かりやすい継続的な治療体系へとする - 糖尿病などの生活習慣病患者に対し、医科(主治医)と連携して口腔管理を行った場合の評価が新設・拡充されました。これにより、全身疾患を見据えた歯科医療の提供を推進する
- 人材と体制の評価
歯科衛生士が一定の研修を受講したうえで、より専門的な口腔機能実地指導を行うことを評価する枠組みが拡充されました。チーム医療による口腔機能管理の充実を図る
最初の一歩:施設基準
今次改定で新たに行わなければならない施設基準の申請
網掛け部分が多くの歯科診療所で該当する項目
出典:厚生労働省資料および地方厚生局資料を基に作成
今次改定で新設された施設基準だが届出が必要のない項目
出典:厚生労働省資料および地方厚生局資料を基に作成
今次改定で要件変更された施設基準だがR8.5.31時点で当該点数を算定している場合であれば新たに届出は必要ない項目(変更された要件を満たす必要はあり)
出典:厚生労働省資料および地方厚生局資料を基に作成
施設基準の内容をよく理解し速やかに申請してください。
自院の届出・申請、抜けはありませんか?
施設基準の申請から、院内掲示・患者様向け文書・キャンセル料対応まで、令和8年度改定で必要な準備を一覧で確認できるチェックリストをご用意しました。フォーム入力後、すぐにダウンロードいただけます(無料)。
令和8年度診療報酬において医療機関が対応すべき主な算定項目
今次歯科診療報酬改定では、医療機関にとって一律の増収とはならず、算定項目への対応によって収益に差がつく構造となっています。
本章では医療機関への影響がとくに大きく、今後の診療報酬改定の方向性も踏まえて優先的に対応が求められると考える算定項目について解説します。
第1弾(全2回を予定)として物価の高騰、賃上げ、人手不足への対応と“療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて”の一部が改正(キャンセル料)について説明していきます。
歯科外来・在宅ベースアップ評価料の増点と対象者の拡大
【歯科外来・在宅ベースアップ評価料】
「歯科外来・在宅ベースアップ評価料」が拡充・見直しされました。継続的な賃上げに取り組む医療機関に対する追加評価の新設や、事務職員など対象者の拡大などが行われ、基本給等のベースアップを促進する仕組みとなっています。
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」P.11を一部加工
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671913.pdf
- 施設基準の届出:
ベースアップ評価料を算定するためには6月1日まで(当該日までに受理)に管轄の地方厚生局へ「別添2」および「様式95」などの施設基準届出を行うこと - 賃上げ実績の確保:
算定により得られた収入分は、スタッフの給与(基本給や毎月決まって支払われる給与)の引き上げに全額充当すること
【歯科外来物価対応料】
「歯科外来物価対応料」は、止まらない物価高騰に対応するため、外来での初・再診時に1日につき算定できる新しい加算です。基本診療料(初・再診料)の引き上げとあわせて、医療機関の経営を支援する目的で新設されました。
なお、令和9年6月以降は、点数が倍になります。
| 令和8年度 | 令和9年度 | |
| 歯科初診料 | 3点 | 6点 |
| 歯科再診料 | 1点 | 2点 |
- 施設基準は原則不要:
特定の施設基準の届出をしていない歯科医院でも算定可能 - 算定のタイミング:
1日につき算定され、1人の患者につき1日に複数回受診した場合でも、算定は1日1回限りの算定 - 訪問診療は対象外:
歯科外来物価対応料は外来患者を対象としたものであり、歯科訪問診療では算定できない
【歯科技工所ベースアップ支援料】
歯科医師からの歯科技工指示書に基づき、補綴物等の製作を委託した歯科技工所の賃金改善を支援するよう新設されました。
なお、令和9年6月以降は、点数が倍になる予定です。
- 事前の届出と連携:
製作を委託する歯科技工所が賃金改善の意向を持っている場合、その歯科技工所と連携した上で、地方厚生(支)局へ施設基準の届出を行うこと - 委託費への全額充当:
算定した支援料は、「全て歯科技工所への委託費の増額」に充てなければならない
| 歯科技工所ベースアップ支援料 | 15点 |
【歯科技工士の技術の評価】
今回の改定では、デジタル機器の活用や、専門的な処理を要する製作技法に対し歯科技工士の関与を必須とする新たな評価の新設
| 有床義歯補強加算 | 150点 |
①有床義歯9歯以上-14歯または総義歯の製作が対象
②義歯修理では算定できない
③算定にあたり製作過程または製作後のカラー写真が必要となる
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」P.86を一部加工
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671913.pdf
| 3次元プリント有床義歯(1装置につき) | 4,000点 |
液槽光重合方式の3Dプリンターを用いた義歯製作(コンピュータ支援設計・製造)が新たに保険適用された
この技術を算定するための「施設基準」として、院内に機器がある場合は「専任の歯科技工士の配置」、院内にない場合は「当該装置を設置している歯科技工所との連携が図られていること」が必須とされる
最新設備を持つ外部の歯科技工所と連携することで新しい保険適用の治療をスムーズに患者様へ提供できる
- 事前の届出と連携:
歯科技工所と連携した上で、地方厚生(支)局へ施設基準の届出を行うこと
【初診料・再診料の底上げ】
物価高騰への段階的な対応として、初診・再診ともにそれぞれが増点となった。
これにより、歯科医院における経営の安定化と医療従事者の処遇改善を図るための底上げが図られる。
| 改定後の新点数 | |
| 歯科初診料 | 272点 |
| 歯科再診料 | 59点 |
【“療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて”の一部が改正】
令和8年6月1日より選定療養におけるキャンセル料の徴収を認める
厚生労働省「「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」の一部改正について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707281.pdf
P.3を一部加工
- 院内掲示・WEBサイトでの掲示をすること
- 事前説明と本人による文書への署名が必要
- 患者都合によるキャンセルであること
- 診療日の直前(前日及び当日)のキャンセルであること
- 金額は社会的にみて妥当適切なものとすること
第1弾のまとめ
診療報酬改定で歯科医院がまず押さえるべきは、令和8年6月施行というタイミングと、初診料・再診料の「基礎点数」が見直しとなる点です。基礎点数の変更があるということは全患者が算定する項目になるということになります。
とくに初再診料は、改定の影響が院内の算定全体に波及しやすく、対応が遅れるとレセプト誤りや返戻リスクになりがちです。初診料・再診料は、ほぼ全患者で算定される算定回数が多い点数です。
お使いのベンダーによりレセコンのバージョンアップの時期を見誤らず確実に実施することが重要です。
初再診料で返戻・査定が増えるのは、制度変更そのものより、運用を院内で共有されていない場合に起こりやすくなります。
初診か再診か?同月OK?同日OK?等、歯科医師・院内スタッフ・受付事務の判断にズレが出るとミスが出やすくなります。
これを機に院内ミーティングにて内容の周知徹底を図り、診療報酬改定の内容を十分に理解し、適切に運用へ反映させることも重要なポイントです。新設された加算や評価項目に対応するためには院内の業務フローや役割分担を決めましょう。
チェック項目は下記フォームよりDLできるチェックシートにて確認できます。
また患者様へも院内掲示等で令和8年6月1日より診療報酬改定が実施され点数変更に伴い、一部負担金に変更がでる旨は告知された方がよろしいでしょう。
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診療報酬改定第2弾「かかりつけ歯科医による歯科疾患管理等の推進」「かかりつけ歯科医による口腔機能の管理等の推進」「歯科固有の技術の評価」を予定しています。
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著者紹介
著者:鶴巻 ひとみ (医療事務コンサルタント/レセ基地代表)
ソフトウェアメーカーを経て、歯科診療報酬の専門家としてキャリアを築く。これまで全国1,600件以上の歯科医療機関をサポートし、実務に基づいた豊富な経験と実績を持つ。
また、各地の歯科医師会、医療法人、歯科関連企業を対象に、診療報酬請求に関する研修会を多数実施。現場の課題に即した分かりやすい指導に定評がある。


